日笠ヒマリ(ひかさ・)は、この街を縄張りとする吸血鬼である。
定期的に人間の血を吸わないといけないのと、運動神経が優れていることを除くとあまり吸血鬼らしくない、今どきの女の子だ。
ヒマリはいつも自分に新鮮な血を売ってくれる、「時計フェチ」の黒髪少女の白坂雪音(しらさか・ゆきね)と(本意ではないが)意味もなくつるんでいる。あまりカッコつけるのは好きじゃないくせに、まるで「町中警察」でもなったかのようにこの街を見守る(そんな気分を味わう)こと、それがヒマリの毎日の楽しみだった。
ここに非日常なことは自分と白坂、この二人しかありえない。
変わりもない穏やかな毎日を過ごしながら、ヒマリはずっと、そう信じていた。
だが、ある日から突然、ヒマリの日常はだんだん変なものになってゆく。
いきなりやってきた、自称「非日常を連れてくる」お嬢さんとのへんてこな出会い。
それから急に始まった、どう見ても謎とは無縁の、冴えない男の体の「中」に無理やりに入られること、続々登場する変人たち、その人たちにとっかえひっかえされる冴えない男の体。それに肝心の、「その冴えない男」の中の人(であるはずの誰か)はまったく不明。
今まではなかったはずの謎、そして、これまたいきなりすることになってしまった廃校侵略――。
わたしの縄張り(テリトリー)で、こんな胡散臭いことを放ってはおけない。ましてや、自分の知らないことが一つでもあるなんてありえない。
そう思ったヒマリは、結局この「どう転ぶかわからない面倒な出来事」にどんどん巻き込まれてゆく――
提供・ Lirues lab. /月島健太郎構成員一同
タグ
日常 /なんでもあり/ バラエティ/ 現代ファンタジー /らしくないけど吸血鬼 /体をとっかえひっかえ / 不条理
各章の説明
基礎知識/これを順番通り読んでおくと、あとは本編のどこから読んでもオッケーのはずです。
本編/ここからは基本的に、お好きなエピソードだけ読んでいただいてもかまいません(ただし、エピソードに数字がついてる場合には、その順番でお読みください)。
よくわからなかったら、一応順番通りに読んでみてください。基礎知識の章を読み終えたら、あとはどんな感じで読んでいただいても大丈夫です。
基礎知識
01.ヒマリ、走る
03.不思議は、ある日突然
04.「冴えない男」の体
05.事件が止まらない
06.ここで最初に戻る
07.運命共同体……なのか?
08.胡散臭い男
本編
トイレがひどいことになった。
トイレ掃除を回避するための無駄な(?)追っかけが、幕を開く。
なぜか作中の人物たちが、作中を語っているように見える話。
この街には、様々な思いを抱いた人たちが住んでいる。