64.あなたの、いちばんの友だちになりたいけれど

「ところで柾木、高梨さんとのデートは上手く行った?」「あ?」  美智琉とカフェで話してから、次の日。  私はなぜか、久しぶりにこの「組織」までやってきた秀樹にそんなことを聞かれていた。 「何言ってるんだ、まったく」 「え~? 以前のあれって、誰からどう見てもデートでしょ?」 「だ、だから、そんなものじゃなくて……」  ...

63.美智琉の一言

「何日かぶりですね、高坂さん」 「はいはい」  美由美といっしょに出かけてから少し時間が経ったある日。私はなぜか、美智琉に呼ばれて「組織」の近くにあるカフェにやってきていた。  いったいどうやったのかはわからないが、美智琉、私の「端末」の番号を調べたらしい。  ……まあ、たぶん美由美になんとか聞き出したんだろう。  私...

62.美由美とのデート

「そ、それにしても、さっきはびっくりしました」  しばらく時間が経ってから、とあるオシャレなカフェの中で。  アイスチョコレートドリンクを口にした美由美が、そんなことを話してきた。 「あ、ひ……橘たちのことだな」 「呼び方は別に今までで大丈夫です。橘さんと柾木くん、付き合ってるのは周りから聞きました」 「そ、そ、そうか...

61.美由美とのデート?

 私が美由美の家にお邪魔して、少し時間が経ったある日の午前。 あの日のことを思い出しながら、私は大通りで美由美のことを待っていた。  ……あの日、私が「どこかに出かけないか?」なんてことを言ったら。 『はい。その時にはよろしくおねがいします』  美由美はそう言いながら、こっちを見て頷いてくれた。あまりにもすんなり答えて...

60.美由美の素顔?

 そうして、次の休日。 「ほ、本当にいいんでしょうか」 「ああ。俺もいつか、美由美の家に行ってみたかったからな」  私は美由美といっしょに、はじめて「美由美の家」に訪れようとしていた。今はちょうど、そこに向かっているところである。  ……美由美の家に訪れるの、はじめてだな。  実は昔からずっと、美由美の家は気になってい...

59.美由美との出会い

 振り返ってみると、美由美と知り合って、もうずいぶん長い時間が経っていた。  ほぼ雫と似た時期に知り合ったんだから、少なくとも3~4年はいっしょに過ごしていたってことになる。  ……もうそんな時間か。  雫との出会いもそうだったが、美由美との出会いも、なかなか強烈なものだった。  美由美がこの「組織」と関係を持つことに...

58.7月もだいぶ過ぎてきた

 私と秀樹が恋人同士になってから、早くも一ヶ月。  もう周りは、すっかり真夏になっていた。 「もう7月も半ば、か……」  久しぶりに廊下の自販機で冷たいサイダーをがぶ飲みしながら、私はそんなことをつぶやく。  もうこんなに時間が過ぎていたんだ。ちょっと信じられない。  まあ、秀樹に「別の姿」がバレて、付き合うことになっ...

Ex01.ひと息の時間

 それはいろんなことが落ちついた7月の終わり頃。 私は久しぶりに、事務室で秀樹と時間を過ごしていた。「平和だねぇ~」 秀樹はいつものように、自分の指定席で羽根を伸ばしている。 私と久しぶりに出会えて、かなりご機嫌のようだ。 「でもな、不思議だよね」「何がだ」「柾木んちの『組織』は『反軍』と戦うって聞いたのに、最近全然そ...

57.私たちのこれから

 雫と過ごしたあの最後の夜から、いくつか時が過ぎた。 暑さはだんだん強くなってきて、もう夏も真ん中だということを思い知らせる。  あの日からしばらく経ってから、私はお父さんと廊下で出くわした。 「……」 「……」  しばらく、私とお父さんは何も話さない。  もちろん、お父さんもこの時点では、私と雫のことをすでに知ってい...

56.でも、今だけはいつものように

「えへへ、これが最後、なんだね」  名残惜しい顔で、雫がそんなことを言ってくる。 「なんか寂しいな。柾木とこんなことやってたのも、ずいぶん長かったのに」 「まあ、はっきりいってやりすぎだったとは思うが」 「それはね~わたしたち、まだ若いから~」 「いや、若いのもほどがあるんだろ」  いつものような、会話。  そして、二...