機械仕掛けのコスモス・ 遊戯
「……っ」 眩しい日差しに起こされて、俺は目を覚ます。 今が朝だということに気づいた俺が先にやったのは、体を起こして外に出ることだった。 そう、確認しておかなければならない。 ……昨日の出来事が、夢だったのかどうかを。 ハナさんの家を出て、たどたどしい足取りで横へと回り込む。 祈るように昨日のあの場所を見てみたが――...
「……っ」 眩しい日差しに起こされて、俺は目を覚ます。 今が朝だということに気づいた俺が先にやったのは、体を起こして外に出ることだった。 そう、確認しておかなければならない。 ……昨日の出来事が、夢だったのかどうかを。 ハナさんの家を出て、たどたどしい足取りで横へと回り込む。 祈るように昨日のあの場所を見てみたが――...
「はぁ……」 いつの間にか周りが暗くなってしまった頃。 俺はハナさんのお言葉に甘えて、ここの浴室を使わせてもらうことになった。 当たり前だが、機械は基本的に「機体を洗うこと」と縁がない。俺も初めて「お風呂場はご自由に使ってくださいね」と言われた時には、思わず目が丸くなった。 ……機械のくせにどうしてこういう言い回しが出...
あの暗い夜に、俺は妹と「あの家」を出て行った。 ――二人が入れ替わっているという、あまりにも絶体絶命の状況で。 時は冬。 もう2月も後半になったばかりだが、未だに寒い日々は続いていた。それも、とても暗い真夜中のことである。 だが、俺たちは急がなければならなかった。 もう、あの家にはいられない。 蒼乃だってそう思って...
僕が初めて耕平の父親と会ったのは、今から二ヶ月くらい前のことだった。 確か、それはある休日の午後のこと。 なぜかすごく耕平に押されて、あいつの家へ二回目に訪れることになったあの時。「ああ、耕平の友だちかい」 そこの居間には、少しだけ無口そうで、なぜか儚さを感じさせる男性がいた。 玄関にいる僕にまで届くくらい重厚で、...
――この世の中には、「ギガント」というものがある。 わかりやすく言うと、それは巨大ロボットと同じものだ。 他国との戦闘に向けて作られた、現代技術の結晶。実用性などはほぼ考えられず、あくまで見せつけのために作られた兵器。 最先端の技術が詰め込められたはずなのに、実戦ではあまり役に立たず、後方支援やら偵察などに使われるこ...
目覚めたのは、見慣れない建物の中だった。 「……?」 意識が戻って初めて気づいたのは、「何かがおかしい」という感覚だった。 あまりにもぼんやりした感情で、どう言語化すればいいのか、見当もつかない。自分のような「論理的」な存在には、非常に馴染めない感覚である。 何かがおかしい――けれど、それが言い切れない。 あまりにも...
「それじゃ、これからレクチャーの始まりね」 校舎の4階にある、何の変哲もないただの教室。 真尋のいる交番を出てからここまで戻ってきて、適当な教室の適当なところで足を下ろしたヒマリは、自分についてきた紗絵と雪音の方を見ながらそう話した。「ヒマリさんが教えてくださるんですね。わたし、とても楽しみです!」「はいはい」「ヒマリ...