マチロジーこれからの記録
それから時間もゆっくりと流れ、気がつくと周りはすっかり暗くなっていた。 「あたしはなんで、こんなとこにいるんだろ……」 「そんなのオレに聞かないでくださいよ」 ヒマリは今、良平といっしょに職員室(だと思わえるところ)で今までの出来事を整理している。あまりにもいろいろありすぎたため、片づけておく必要性を感じたからだ。...
それから時間もゆっくりと流れ、気がつくと周りはすっかり暗くなっていた。 「あたしはなんで、こんなとこにいるんだろ……」 「そんなのオレに聞かないでくださいよ」 ヒマリは今、良平といっしょに職員室(だと思わえるところ)で今までの出来事を整理している。あまりにもいろいろありすぎたため、片づけておく必要性を感じたからだ。...
そろそろ日も沈む頃。 「じゃ、行こうか」 「ヒマリさんの家ですね! 他の方の家でお世話になるのは初めてですから、すごくドキドキしています!」 「はいはい」 いまさら昼飯を食べ終わったヒマリたち(途中に、このお嬢さまがいろいろなことに好奇心を見せすぎたため説明に時間がかなりとられたが)は、ファストフード店を後にする。...
日笠(ひかさ)ヒマリは、吸血鬼である。 とはいえ、あまりそれらしいところはない。 運動神経が普通の人よりちょっとよくて、おそらく普通の人間よりは遥かに長く生きられて、定期的に血を飲まないと死ぬ。 あとは、少し特殊能力が使えるらしい。 吸血鬼っぽいのは、それくらいだった。 そもそもそこまで長く生きていないため、自分が...
その日も昼遅くになって、ようやくご飯を食べるため出かけたヒマリは、向こうに誰かが倒れて……っていうか、座り込んでいることに気づく。 どうやら、その人には意識がなさそうだった。 ひょっとして事件か? そう思ったヒマリは、女の子に近づく。 そこには、一人の女の子が座り込んでいた。 座り込んでいるというか、ほぼ「倒れて...
この現実から目をそらすため、ヒマリはちょっと家を出てまわりを歩く。その場しのぎだというのは自分でもわかっているが、こうてもしないと、ヒマリは頭がパンクしそうだった。 っていうか、今、いったいどうなっているんだ。そう慌てていたヒマリは、正面から歩いてきた誰かとぶつかるそうになる。 「あ、すみません……」 と謝ろうと...
従って、ヒマリは雪音のいるところまで走る。理由は、ヒマリの中では数え切れないくらいあった。 まず、さすがにヒマリの家には二人もいられない、ということだった。ヒマリは一人暮らしで、住んでいるところも決して広いわけじゃない。刹那はどうやら家出らしいし、お嬢さまくらいには放っておけないとヒマリは思った。ならば一緒に過ごす...
こうしてみんなが雪音の店にやってきてから、少し長い時間が経った。さすがにヒマリも刹那も体力が極端に減っているため、近くのソファーでちょっとした眠りについていたのだ。 沙絵はまだまだ元気らしく、雪音を「えっと、これはなんでしょうか?」「あら! こんなものがあったなんて……」と質問攻めにしていた。いったいどこからそんな...
しばらく経ってから、あの男を連れて雪音が学校にやってくる。 いくらタクシーだったとは言え、素性も知らない男を一緒に連れてきた雪音は素晴らしい人格の持ち主だった。ついでに、いろんなことに文句を言ってこなかったタクシーの運転手さんも大したもんだった。 「まったく、とんだ災難ね」 そうして、ヒマリは雪音と共にこの知らな...