機械仕掛けのコスモス・箱庭

「チサさん、今日はなんだかぼうっとしてますね」「そ、そうでしょうか?」 あいつと盟約を交わしてから次の日。 俺は、ハナさんの声によって現実に戻され、ビクッとしながらそう答えた。 ……いかん、これじゃ考え込んでいたのがバレバレだ。 ギガントの頃にはこんなことなどまったくなかったのに、こんな身になってからはこんなふうに考え...

永遠の下っ端 葉柴良平の一日(1)

 ある8月の朝。「もう、朝かぁ……」 窓から差し込む日差しに目を細めつつ、職員室の大きな黒いソファで寝転んでいた葉柴良平はでっかいあくびをする。 良平がこの校舎に泊まり込むことになってから、もう何日かが過ぎた。 初めはここまで長く居座るつもりはなかった。ちょっと部活の野球で嫌になったことがあって、それから逃げるような形...

機械仕掛けのコスモス・ 盟約

 結局、俺はあのストロベリーソーダというやつを無事に飲み切った。 飲み切ると、どうしてなのかはわからないが、少し寂しい気持ちになるのが不思議である。 そろそろ暑くなる頃だからか、最後まで行くとその涼しさが身に染み渡るような気がして、正直、心地よかった。 人間にとって、こういう「味わう」行為は娯楽でもあるが、生きる上の知...

機械仕掛けのコスモス・ 衝撃

「あれ、顔色が悪いですね、チサさん」 次の日の朝。 いつものように、ハナさんは俺のことを心配してくれた。「い、いえ、大丈夫です。大したことじゃありませんから」「ふふっ、よかった。ひょっとして、チサさんは今日もウツボカズラに喰われる夢を見たのかな?と心配していたんですよ」「じ、自分も毎日、そんな変な夢は見ませんよ……」 ...

機械仕掛けのコスモス・ 両親

「おはようございます」 まるでいつもの日課であるように、俺はハナさんと挨拶を交わす。「はい、おはようございます。最近は天気もよくて、つい嬉しくなりますね」「そうですね。いつもハナさんが良くしてくださったおかげかもしれません」「……ふふっ」 何も考えずに俺がそう答えると、ハナさんはなぜか、くすりと笑う。 こ、この言い返し...

機械仕掛けのコスモス・ 現状把握

 次の日、よく晴れた朝に。「あ、あの」 おずおずしながらも、俺はハナさんにそう話しかけた。「はい、なんでしょうか?」「す、すごく頼みづらいことですが、その」 やはり、これを口にするのは図々しいというか、おこがましい。 そんなことを思いながらも、俺はその頼みを口にせずにはいられなかった。「ふ、普段着のことですが、スカート...

機械仕掛けのコスモス・ 感情

 次の日の朝。「ハナさん、おはようございます」「はい、チサさん。今日もいい天気ですね」 俺は昨日のように、ハナさんと挨拶を交わしながら周りを見渡す。 何度見直しても、やはりこの家には緑――つまり、植物が多い。 壁にもテーブルの上にも、外の庭だって植物ばかりだ。この周りには山しかないというのに、家の中までこんなに緑で満ち...

그 날 밤에

미아는 아직도, 그 날 있었던 일을 똑똑히 기억하고 있었다. ‘그 날’까지만 해도, 미아는 이제 5학년 가을에 접어드는 그냥 보통 여자애였을 뿐이었다. 만약 일년 뒤, 아니 몇달 뒤에 자기가 이런 모습으로 낯선 데에 있단 걸 들으면 오래 전 자신은 어떤 반응을 보일...

홀로살기

이렇게 미아는, 얼떨결에 홀로살기라는 새로운 삶을 시작하게 되었다. 미아는 지금껏, 혼자살게 되면 가장 중요한 건 침대나 의자같은 큼직큼직한 가구라고 생각했다. 하지만 정말로 혼자 지내게 된 지금, 미아는 가장 중요한 건 그런 눈에 보이는 게 아니라는 사실을 깨닫게 되었다. 혼자사는 이...

보금자리

미아는 조심스레 열쇠구멍에 꽂힌 열쇠를 돌린 뒤, 문을 열고 안으로 들어갔다. 이런 ‘다른 모습’이 되기 전에, 미아는 이런 식으로 혼자 사는 걸 꿈꾼 적이 있었다.특히 부모님이 크게 싸우는 날 밤엔 더더욱 그랬다. 도망갈 곳이라곤 어디에도 없는 집안에서 숨을 죽인...