ガールズトーク

「ん……最近はどちらかというと、数学の方が大変かな」 私に胸を弄られながら、雫はため息を漏らしつつ、そう答えた。「雫って確か、数学は得意な方だろ」「そうだけど~……はぁ、方程式とか微積分とか、全部難しいんだもの」「そりゃそうだろ。数学ってそういうものだし」「はぁ……ん……柾木って、今日は意地悪じゃない?」 そう拗ねたよ...

棒読みな罵り

※ここから先は、18歳以下の方に不適切な表現があります※このエピソードは、本編完結後(エピローグの前)の時間軸となります 「はぁ……」 その日も、私は「組織」の事務室で秀樹と体を交わしてから、帰りを見送った。 いつものことながら、えっちをした後はどこか照れくさい気持ちになる。 ……本能に従いすぎたせいなのだろうか。 も...

永遠の下っ端 葉柴良平の一日(2)

 良平はもう一回、呆けた顔で目の前の人物、月島健太郎……というか紗絵を見つめた。「あれ? 良平さん、どうかしましたか?」 目の前の少女……つまり紗絵は、不思議という顔で首を傾げる。はっきり言って、良平よりも歳がありそうな成人の男性には滑稽な仕草だった。 ……まあ、紗絵さんはそんなこと、気にもしていないと思うけどな。

機械仕掛けのコスモス・箱庭

「チサさん、今日はなんだかぼうっとしてますね」「そ、そうでしょうか?」 あいつと盟約を交わしてから次の日。 俺は、ハナさんの声によって現実に戻され、ビクッとしながらそう答えた。 ……いかん、これじゃ考え込んでいたのがバレバレだ。 ギガントの頃にはこんなことなどまったくなかったのに、こんな身になってからはこんなふうに考え...

永遠の下っ端 葉柴良平の一日(1)

 ある8月の朝。「もう、朝かぁ……」 窓から差し込む日差しに目を細めつつ、職員室の大きな黒いソファで寝転んでいた葉柴良平はでっかいあくびをする。 良平がこの校舎に泊まり込むことになってから、もう何日かが過ぎた。 初めはここまで長く居座るつもりはなかった。ちょっと部活の野球で嫌になったことがあって、それから逃げるような形...

機械仕掛けのコスモス・ 盟約

 結局、俺はあのストロベリーソーダというやつを無事に飲み切った。 飲み切ると、どうしてなのかはわからないが、少し寂しい気持ちになるのが不思議である。 そろそろ暑くなる頃だからか、最後まで行くとその涼しさが身に染み渡るような気がして、正直、心地よかった。 人間にとって、こういう「味わう」行為は娯楽でもあるが、生きる上の知...

機械仕掛けのコスモス・ 衝撃

「あれ、顔色が悪いですね、チサさん」 次の日の朝。 いつものように、ハナさんは俺のことを心配してくれた。「い、いえ、大丈夫です。大したことじゃありませんから」「ふふっ、よかった。ひょっとして、チサさんは今日もウツボカズラに喰われる夢を見たのかな?と心配していたんですよ」「じ、自分も毎日、そんな変な夢は見ませんよ……」 ...

機械仕掛けのコスモス・ 両親

「おはようございます」 まるでいつもの日課であるように、俺はハナさんと挨拶を交わす。「はい、おはようございます。最近は天気もよくて、つい嬉しくなりますね」「そうですね。いつもハナさんが良くしてくださったおかげかもしれません」「……ふふっ」 何も考えずに俺がそう答えると、ハナさんはなぜか、くすりと笑う。 こ、この言い返し...

機械仕掛けのコスモス・ 現状把握

 次の日、よく晴れた朝に。「あ、あの」 おずおずしながらも、俺はハナさんにそう話しかけた。「はい、なんでしょうか?」「す、すごく頼みづらいことですが、その」 やはり、これを口にするのは図々しいというか、おこがましい。 そんなことを思いながらも、俺はその頼みを口にせずにはいられなかった。「ふ、普段着のことですが、スカート...

機械仕掛けのコスモス・ 感情

 次の日の朝。「ハナさん、おはようございます」「はい、チサさん。今日もいい天気ですね」 俺は昨日のように、ハナさんと挨拶を交わしながら周りを見渡す。 何度見直しても、やはりこの家には緑――つまり、植物が多い。 壁にもテーブルの上にも、外の庭だって植物ばかりだ。この周りには山しかないというのに、家の中までこんなに緑で満ち...