21.なぜかちょっと悔しい
タッ、タッ、タッ。 その日の深夜にも、私はパソコンの前で、いつものように作業に打ち込んでいた。 もちろん、その作業は「作戦」を練り、みんなの状態をチェックすることである。つまり、訓練担当である教官から送られてくるデータを参考して、それに合わせて作戦などを作るのが私の仕事だ。 最近、暇な時が多かった反動なのかどうか...
タッ、タッ、タッ。 その日の深夜にも、私はパソコンの前で、いつものように作業に打ち込んでいた。 もちろん、その作業は「作戦」を練り、みんなの状態をチェックすることである。つまり、訓練担当である教官から送られてくるデータを参考して、それに合わせて作戦などを作るのが私の仕事だ。 最近、暇な時が多かった反動なのかどうか...
「そういや、機械はどこにあるの?」 秀樹からそんなことを聞かれた私は、もう一度、あの機械のある部屋までやってきた。もちろん、なぜかキラキラした目の秀樹といっしょだ。 この部屋は、家にある他の部屋よりも一回り大きい。それなのに、その半分くらいをあの大きな機械が占めているため、そこまで大きくは見えないのが不思議だった。...
「へーここが柾木の家?」 平日の午後。私は秀樹を連れて、久しぶりに自分の家に戻っていた。 最近は余裕のある方だとは言え、秀樹まで連れてくる必要はなかったけど……。以前、秀樹が漏らしていた話がずっと気にかかっていて、結局、家に招くことにした。 ……以前にも似たようなことを考えていた気がするけど、これが一週間の前に、...
次の日の朝。 「……なんだ?」 朝の日差しで目が覚めた私は、目の前の風景を見て、自分の目を疑った。秀樹がすぐとなりで、自分をじっと見下ろしていたからだ。 ひょっとして、寝顔を見られた? 急に恥ずかしくなる私だったが、よく考えると、問題はそれだけじゃない。 最近はだんだん暑くなっているから、私は昨日の夜、上半身裸...
そして、土曜日になってから。 「……」 近くにある、有名なテーマパークの入り口の前で。 私はじっと、誰かを待っていた。 今日は以前に約束しておいた、秀樹とデート……っぽい何かをすることになっていたからだ。 事情を語ると、少し長くなる。 あの日以来、私は自分で何か、役に立てることはないのだろうか、と思い始めた...
それから、午後になった頃。「やはり、行ってみようか……」「ん? どこを?」 私の独り言を聞いた秀樹が、すぐ反応する。「今日は余裕もあるし、後輩たちの練習しているところをもう一度見てみようかと――」「俺も、俺もいっしょに行く!」「そこまでまたメカが見たいのか」「うんうん、どうせやることもないし」 たしかに、それはその通...
前回の話に戻る。 雫の警戒はしばらく続いたが、時間が経つに連れて、私たちの距離は少しづつ縮まった。雫が私を、「頼っても良い」人だと信じてくれたおかげだった。 それだけでも私は十分嬉しかったが、ここで、最初にはまったく考えもしなかった問題ができた。 ……雫が私に、本気で惚れてしまったのだ。 自分から言うのもなん...
次の日。 いつもの時間に目覚めた私は、まず、支度をしてから秀樹の様子を見に行こうと決めた。 いきなりあんな姿になって、知らないところで一晩を過ごすことになったのだ。今ごろどうしているのかは、やはり気になる。 今くらいなら起きているのかな。 それとも、寝不足だったりするのだろうか。 昨日、秀樹と別れたあの部屋...
そうして会話を終わらせた私たちは、自分の執務室から出て、廊下を歩いていた。 理由はもちろん、秀樹がこれから過ごす部屋へと案内するためだった。 でも、未だに信じられないな。 別に自分が呼び捨てにされるのは構わなかったけど……まさか自分まで呼び捨て「する」ことになるとは。 そちらの方がいいと思うし、おかげで秀樹もすんなり...