91.前に進める勇気を
ようやくお父さんとも分かり合えて、少しだけ気持ちが浮いていた私は。 次の日の朝、「反軍」――飯塚からやってきたメールに目を丸くした。『最近は連絡がないんだけど、平気? 私たちのことは少しでも考えてくれた?』 まあ、ここまではいいとしよう。問題はその次のところにあった。『こちらとしてはどうしてもあなたのことが心配だから...
ようやくお父さんとも分かり合えて、少しだけ気持ちが浮いていた私は。 次の日の朝、「反軍」――飯塚からやってきたメールに目を丸くした。『最近は連絡がないんだけど、平気? 私たちのことは少しでも考えてくれた?』 まあ、ここまではいいとしよう。問題はその次のところにあった。『こちらとしてはどうしてもあなたのことが心配だから...
お姉さんを後にした私が、急いで「組織」へ戻ってくると。「……あっ」 私の喉から、思わずそんな声が漏れる。 入り口の向こうにあるベンチに、見慣れた人影が佇んでいたからだ。 それが誰なのかは、もう考えるまでもない。私の足は、自分も知らないうちに早くなっていた。 「遅くなってすみません」 私は急いで、向こうのベンチ――つま...
次の日の夕方ごろ。「来てくれたか、兄貴」 仕事にも余裕が出てきたため、私はお姉ちゃんを、ここ「組織」の近くにある公園に呼び出していた。 別に大げさなことを話すつもりではない。ある意味、どうでもいいことなのかもしれない。 でも、どうしても私は、お姉ちゃんに「自分の声」で伝えたかった。 ……自分がこれからどうしたいのか、...
そんな、とても嬉しい出来事があってから、次の日。 久しぶりに爽やかな朝を迎えた私は、自分に届いたメールを見てぞっとした。『お元気かしら、高坂さん。私たちの提案のこと、少しは考えてくれた?』 そう、飯塚は懲りもせず、まだこちらに連絡してきたんだ。 この人たち、どうして「ただの下っ端幹部」である私に、ここまで執着する...
いろいろあったけれど、ようやくやってきた休日の午後。「お、おう、来てくれたんだな、柾木」 私は珍しくも慎治に呼ばれて、ここ、いつもの公園までやってきていた。 ……こいつ、以前には「話すだけなのに、わざわざ公園まで呼び出して」なんか言ってきたくせに、今度はどういう風の吹き回しなんだろうか。 正直、かなりわかりかねる。 ...
……昨夜はどうやって眠りについたんだろう。 次の日の朝、なんとか目が覚めたものの、私は未だにそれがわからなかった。 相変わらず頭が重くて、何も考えられない。だけど、私は社会人なんだから、そろそろしっかりしなくてはいけないんだ。 わかっている。わかっているつもりだけど―― 今は、どうしても体に力が入らなかった。...
「はぁ……」 思わず、ため息が口からこぼれ落ちる。 こういうのが、心も体もボロボロになった、という状態なんだろうか。何もかもが虚しくて、気力も何も湧いてこない。 こういう気持ちは、初めてだ。 今、私は完全に参っているんだ。なぜか今は、それがはっきりとわかる……というか、すんなりと納得できそうだった。 そんな虚...