붉은 밤 언리미티드 31.5 작중 게임의 원문

「え、えっと、助けてくれて、本当にありがとうございました」
「どういたしまして。可愛い女の子を救うのが、俺のお仕事さ」
「えっ、先生じゃないですか? わたしより歳、遥かに上のようだったんですが……」
「ああ、先生じゃないね。女の子なら誰でも救いたがる、ただの学園生なのさ」
「ご、ごめんなさいっ! そんなことも知らずに、変なこと言っちゃって」
「まあ、もうそれには慣れちゃった。むしろ新鮮だな。今になっては」
「えっ?」
ああ、やっぱりこの子は何も知らないんだな。
そんなことを思いながら、俺は一番やりたくない、昔話を始めた。
「これは例え話だから、じっと聞いてほしいんだが」
「はい」
「あるところに、誰かさんとそっくりの男子学生が住んでいた。そいつは誰かさんのように、女の子には目がなくて、学園では先生たちの目の敵にされていた。まあ、仕方がない。俺って、そういう性格だったからさ」
「……」
「その中でも、特にその学生と仲が悪かった先生がいた。ま、女の子の中ではわりと慕われたりしたようだが、俺とは非常に相性がよくなかった。いつも喧嘩ばかりしていたな。お互いに「お前は最悪だ」と叩いていた」
「そ、それで……?」
「あいつ、何度も言うけど、ルックスは悪くないんだよ。それに女の子には優しいやつだからな、俺の方が問題児として見られたわけだ。あいつがいつか、俺のことをクズの中のクズだと言ったことがあったな。たぶん、俺みたいな性格のやつが、あいつは大嫌いだったんだろう」
「……」
「まあ、それまではいい。あいつと俺は他人だったからな。卒業すれば、全てうまく行ったはずなんだ。実はな」
「えっ?」
しまった。あまりにも「自分ごとのように」喋ってしまった。ちょっと表現を改めないと。
「そんなある日のことだ。その日も教師と学生は喧嘩していた。その時は声を高めてお互い罵っていたな。あいつは冷めった目で、「お前なんか、この学園の恥だ」と言いやがった。今でも覚えてるな。あいつの優越感に浸った顔が」
「で、ど、どうなったんですか?」
ここからは、個人的に息が詰まる話になる。例え話、とは言ったが、俺にとっては例えでもなんでもなかったからだ。
「そりゃもちろん、体をぶちまけたのさ。そんなのを聞いて、黙っているやつじゃなかったからね。あいつも学生を見る目っているより、獣を見るような目でその少年を見ていたな。だから二人は大喧嘩したわけだ。教室の中、みんなが帰ろうとしていた平穏な時にな」
「……」
「普通なら、それで終わりであったはずだった。もちろん望ましい状況じゃなかったが、どうにか収まったはずなんだ。その時、誰も考えていなかったことが起きた。いや、起きてしまった」
「そ、それって……」
「まあ、その先生と、学生の体が入れ替わったわけだ。簡単だろ?」
「……」
女の子はしばらく、何も話さない。
だからここまで「わかりやすい」話は、あまりしたくなかったんだ。
「世の中、わりと上手くなっていてさ。起きるべきことは絶対に起きて、起こらないのはどうあがいても起こらない。変な世の中だ。何ができて、何ができないのすらわからないって」
「……」
「つまり、その学生は、自分が一番殺したいやつの体になってしまったわけだ。可哀想にな。他人事ではあるが」
「あ、あの、せ、先輩……」
女の子の声が、震えている。そりゃそうだ。これの意味がわからない人なんて、いるわけない。
「当たり前だが、もっとも不幸だったのは学生の方だ。自分が嫌悪する存在になったことも問題だが、それだけじゃない。あいつと学生とは、歳が離れてるんだ。誰からどう見ても、先生の方しか得しない展開だった」
「……」
「まあ、三十代だからそこまで使えないわけでもないが、考えてもみろ。いきなり学生が、歳をえらく食った大人になってしまったんだぞ? 当たり前だが、体力でクラスメイトに勝てるわけがない。あいつらは俺と違って、まだまだだからな」
「え、えっと、えっと……」
「ま、それはどうでもいいとしよう。目撃者が多すぎて、俺たちは入れ替わったことを認められたからな。だが、問題はそこからだ。そこまで問題を起こしたやつを、クラスメイトの奴らが放っておくと思うか?」
「……」
「元から俺は、クラスメイトとそこまで仲が良くなかった。喧嘩も多かったからな。おかげで、環境は最悪だった。その学生が、ここまで遠いところに引っ越すくらいには」
「……」
「ほら、びっくりするほどつまらない話だろ?」
俺はそれ以上、何を言えばいいのかわからなかった。この姿で学園に通ってると、そりゃみんなに変な目で見られる。さっきの、喧嘩を売ってきた不良たちもそうだ。この歳で制服を着た男性なんて、ネタにしかならない。
だが、一番悔しいのは、そっちじゃなかった。
毎日、「自分」の顔を鏡で見られることより、屈辱に近いことが、また残っていたのだ。
「あの、先輩。わたし、先輩の学園にもうすぐ入るんです。その、新入生として」
「そうか、おめでたい」
「いや、そ、それじゃなくてっ!!」
この女の子、いや、後輩ちゃんが言葉を選んでいたことは俺でもよくわかる。まあ、こんな話を聞いて反応に困るのも自然だ。俺だって、自分ごとじゃなかったら逃げてる。そう、自分ごとじゃなかったら。
「先輩って、今の学園生活はどうですか? 心を許した友達とが、いるのでしょうか?」
「ああ、いるな、一人。あいつはいいやつだ。君にも紹介してあげたいくらい」
「い、いや、そんなことを言いたかったわけじゃなかったんです。その……」
後輩ちゃんが慌てている声を聞きながら、俺は微笑ましい気持ちになった。そう、その態度だけで十分なんだ。世の中っていうのはわりと厳しくて、俺という存在すら避けてしまうやつらも多い。まあ、それが自然だが。
「せ、先輩」
「うん、なんだ?」
後輩ちゃんの声は、相変わらず震えていた。こちらが抱きしめてあげたらよかったんだが、おんぶしている今は無理だな。まあ、このボロボロな体でもこれくらいはできるってわけだ。妙に腹立つが。
「わたし、絶対に学園で、また先輩のこと、見つけます。そして見つかったら、せいいっぱい尽くします。お昼ごはんでも勉強でも、なんでも」
「君って二年生の従業について来れるのかな? 俺も自信ないが」
「そ、それはよくわからないんですけど、わたし、迷惑じゃなかったら、先輩の側にいます。先輩の周りが全部敵だとしても、わたしだけは味方になります。あ、でも、友達はいると言ってたし……」
「そうか」
この後輩ちゃんは、どうやらかなり優しい性格らしい。学園でも避けられる人の世話を自らしてくれると申し出るって、ずいぶん変わった子だ。だが、俺はそんな子が嫌いじゃない。むしろそういう子と知り合って、俺は心から良かったと思えた。
「俺って、自分のこの姿、好きじゃないところか、大嫌いだぞ。それでもいいのか?」
「大丈夫です。先輩が優しいってこと、わたしは知ってます」
「この姿は俺じゃない。本当の俺はどこかに捨てられたんだ。それはどうなんだ?」
「それも大丈夫です。先輩のこと、ちゃんと感じられるんですから」
「君がどれだけ「本当」の俺に触れたいと思っても、それは叶わないぞ。それでも?」
「はい。わたし、今、先輩のこと、すごく感じてます」
「まるで告白のようだな。ちょっと照れるね」
「べ、別に、で、でも、先輩のこと、わたし、きっと好きだと思いますから……」
この後輩ちゃんは、本当にどこまでも優しかった。ちょっと強気っぽく見えるが、こちらのことを考えていることはよくわかる。この子は本当に、「いい子」だと思った。
だからこそ、俺は辛くなってしまう。
もしこの子と付き合えるとしても、俺のモノはあげられない。あげられるのは、ただ、「あいつ」のモノ、それだけだから。