「お前、そんな生き方で楽しいのか?」
そう後ろから話しかけられたとたん、私の心が、ぎゅっと凍ったような気がした。
ここはただの女子高校のグラウンド。ついでに、体育の時間が終わったところ。
クラスメイトであるその人は、まるで子供の頃のガキ大将がそのまま女の子になったようなイメージ。
ぶっきらぼうで、誰にも壁を作っていて。
そもそも、名前が「沢村英一」とか、そういう女の子離れたものなんだから、友だちなんて、できるわけがない。
……その友だちを作りたくても作れずに、いつも控えめな自分がいうセリフじゃないんだけど。
「いつもクラスで一人きりで、距離をおいている人には言われたくないんですけどね」
思わずそんなことを口にしたら、後ろからはすぐ、こういう答えが返ってきた。
「別に事情のある俺はいいんだよ。お前こそ、それでいいのかって」
「自分の事情は棚に上げる人のことなんて、あんまり聞きたくないんですけど」
「あっそ」
似たもの同士であるくせに。
私は、あの人は、お互いに冷たい態度を取り、自分のことを仲良く棚に上げる。