サンプル。
「見てみて、柾木! これ昔のレトロゲーム機!!」
「なんだ。またそんなの手に入れてたのか」
「もちろん! ほら見て、画面が白黒なんだよ。それにめっちゃちっこい。このドットっぽさがたまらないよねー」
「まあ、俺にはよくわからないが……」
「おお! ボタン押すとぴこぴこ音が鳴る! すげぇ!!」
「何いちいち感動してるんだ……まったく」
と言いながらも、私は秀樹といっしょにゲーム機に内蔵されているテトリスをやり込んだ。
昔のゲームって単純だけど、不思議なことにそれが面白い。秀樹は夢中になっていて、画面から目を逸らさなかった。
あれ? よく考えてみると、今の私ってかわいい女の子といっしょにゲームをやってる男ってことになってない?
これって羨ましい状況なんだろうか?
まあ、秀樹はあまり気にしてないようなんだけど……。