11.下の名で呼んでもいいって、言っちゃった
「さあ、そこに座ってくれ」 自分の執務室に戻って、再び、私たちは顔を合わせる。 今からだ。 橘にとっても、私にとっても、一番頭が痛くなってくるのは。「まず、さっきの続きだが……」 とはいえ、このまま何もせずにはいられないので、私は橘に、さっきの「事情」についてもっと詳しく話した。 橘はいったい何に巻き込まれてこうなって...
「さあ、そこに座ってくれ」 自分の執務室に戻って、再び、私たちは顔を合わせる。 今からだ。 橘にとっても、私にとっても、一番頭が痛くなってくるのは。「まず、さっきの続きだが……」 とはいえ、このまま何もせずにはいられないので、私は橘に、さっきの「事情」についてもっと詳しく話した。 橘はいったい何に巻き込まれてこうなって...
連絡通りに調査室まで行ってみれば。 そこには、変わり果てた……つまり「別の姿」である、橘がいた。 「別の姿」を見たのはさっきが初めてだけど、そこで橘を見つけるのは難しくなかった。他のひとだっているというのに、橘の姿は、すぐ目の中に入ってくる。 いつもよりも、一回り小さくなった背中。 橘は、一見爽やかそうなイメー...
少し時間が経ってから、私はお父さんに呼ばれて、執務室まで来ていた。 すでに覚悟していたことだ。「私」に絡んだ事件が起きたのに、ここの幹部であるお父さんから呼ばれないわけがない。 ところで、今の状況は果たして現実なのだろうか。 情けないことだが、未だに私は、その実感があまり沸かずにいた。 「お前も、話は聞いている...
執務室の中に入ると、見慣れた風景が私を迎えた。 なんだかんだ言って、ここにいると落ちつく。基本的に、自分しかいないところだと言うのもあるのだろう。 ここは組織の中では、「個人のオフィス」として普通の見た目をしているところ。ほんの少しを除くと、本当に一般的な事務室と同じだ。 基本的に事務職なので、ここから出ること...
はっきり言って、学園での出来事が、私にとっては非日常に近い。別に求めていたわけではないが、気がつけばそうなっていた。 それが寂しくないと言ったら、嘘になる。 だが、今の私にはやるべきことがある。そうなってしまった以上、これを避けることはできなかった。 ここが、外からはただの高層ビルにしか見えない、「組織」の本拠...
それは、お姉ちゃんが「別の姿」になってから何年か後。 学園が終わって、いつものようにウキウキしながら家に帰ると、この時間には珍しく、お父さんが私のことを待っていた。 あれ、お父さん、どうしたんだろう。 私が変だなという顔をしていると、お父さんは、急にこんな事を言った。「柾木。お前に頼みたいことがある」「はい。なんでし...
好きなことに素直になって、「やりたい」というのは難しいな、っていうか、怖いな、と改めて感じた。これはジュブイクの話だけど。 ぶっちゃけ、怖いのはたくさんある。そもそもどうやればいいのかわからないし、誰かに自分が知られるのが怖い(これも変な話だけど)。自分がこんなことを思ってたと知られるのも怖い。っていうか、正直にいうと...
ジュブイクをスマホにも対応させたい。せめて体験版の分量だけでも。という話。ゆっくりと続く。 まず、スマホ版もほしい理由から。ジュブイクというゲームには大まかに四つののルートがある。一周目には秀樹ルートだけプレイでき、二週目から雫・美由美ルート、そしてここまでエンドを全部見るとグランドルートに入れる。なお、たぶん共通は短...
秀樹の場合。 「へー綾観さんってそこまで甘えるの上手いんだ」「ま、まあ」「じゃ、俺の方も負けていられないよね! 柾木大好き! くんかくんか」「アホか」 雫の場合。 「つまり、橘さんも柾木にどんどん甘えてると」「おかげで体がへとへとだ……」「じゃ、わたしはどう? ドキドキする? 変な気分になれた?」「だ、だから、そこまで...