そうして少女たちは永遠なる眠りにつく

 ――最初に、一つがあった。

 その一つが男か女かはわからない。ただ最初の存在が、何も持たず、空から地上へと降りてきた。
 ある人はそれを見て男だといい、またある人はそれを見て女という。
 それがどういう存在だったのかはわからない。男だったかもしれないし、女だったかもしれない。あるいは、男と女、そのどちらでもあったかもしれないし、どちらでもなかったかもしれない。
 だが、その一つは間違いなく、そこにいた。
 その存在はしばらくしてから、来た時と同じように、何も持たず、地上から天へと還った。
 今、我々の空を飛ぶ「友」――あれは、あの「最初の一つ」と繋がっていると言う。

  

 裏世界の住人であった飛山憲造(ひやま・けんぞう)は、見慣れないところで目を覚ました。
 目の前には、透き通るような午後の空。その鮮やかな色から見て、たぶん季節は真夏なのだろう。
 自分が倒れていたところは、どこかの建物の庭と思われた。鳥のさえずりがどこかで聞こえてくる、静かで緑豊かなところ。そこまでなら、いきなりこんなところで目が覚めたことを除くと、そこまでおかしな風景ではなかったんだろう。
 だが、憲造の目の前には、「それ」が浮いていた。
 薄い紫の色をした、空を泳ぐ――得体の知らない、謎の巨大な存在。
 これを「不思議」と呼ばなければ、何を不思議だと言えるんだろう。

 しばらくしてから、憲造は、自分が置かれた状況が極めて異常だということに気づく。
 自分が目覚めたところは、まるで幽閉されたような山奥の静かな女学院。
 もちろん、中にいるのは学内寮で過ごしている年頃の少女たちだけで、しかも今は夏休みの真ん中らしい。
 そして、誰もあの「空を泳ぐもの」について、疑問を持たなかった。むしろそれに疑問を抱く憲造を、不思議な目で見つめるだけである。
 あれは「友」と言われ、昔からずっとこの空を泳いでいる存在らしい。
 ここは、異世界か。
 だが、あの不思議な存在を除くと、周りに見えるのは少なくとも現代に限りなく近いものだった。

 それに、彼にはあの「空を泳ぐもの」とは比べ物にならないくらい、もっと重大な異常があった――
 それは、他でもない、憲造自身に起きた異変である。
 なんと、気がつけば自分は。
 あのあどけない少女たちと同じ存在になっていたのだから。

 とはいえ、別人になったとか、そういうオチではない。
 はっきり言って、今の憲造は「なぜか女物の制服が着れて、そのもの自体になっている」だけの男である。
 いや、たしかに今は「男」とは呼び難い存在ではあるが――
 その姿は、ある意味では滑稽ながら、「男が似合ってもない女物の制服を着こなしている」、それ以上でも以下でもなかった。
 自分でも笑いものでしかない事実だが、しかし、こうなってしまったのは紛れもない現実である。
 あえていうと、背が縮まってしまったり、声が若干高くなってしまったのが、今までと比べていちばん目立つ差なんだろうか。
 まあ、これはもちろん、憲造の中で「根本的」に変わってしまったことから目を背けば、の話だが。

 そうして、その不思議で謎ばかりの世界での、憲造の新生活が始まる――

人物紹介

恵比須 森羅 (えびす・しんら)

 憲造のルームメイトになった女の子。
 (「あの世界」では)今どきで気さくな女の子で、憲造をちゃんづけで呼ぶ。
 スキンシップ大好き。誰にだってベタベタする。

榊原 蝶々 (さかきばら・ちょうちょう)

 歌劇部の部長として、エース。
 そのカリスマ性は、学院中でも有名である。艶のある黒髪ロング。
 物事を遠くから一歩下がって眺めようとする癖がある。
 誰かを弄ることが大好き(だと思われる)。
 基本的にはからかう意味で憲造を「貴女」と呼ぶが、本気になっている時にはニュアンスを変えて「貴方」と呼ぶ。

仕様

ジャンル・イベント探し型フィールドADV

スマホ・PCに対応(ある方法で、セーブデータも一応共有できる)

アップデート式であり、初期から大型アップデートのためには課金が必要

初期段階のデータ(ゲーム本体含む)は無料

主人公の設定は決まっている

時間と場所の概念はあるが、ある時期でないと発生しないイベントは(ほぼ)存在しない

コンセプトは、「ハードボイルドな視線で見つめる、メルヘンな世界観の少女たち」

 もっとわかりやすく言うと、「観葉植物や壁になって、百合をただ遠くから眺めたい」がほぼ三人称になったような感じ。
 主人公は基本的に、学院の女の子から自ら距離をおいている。
 主役に当てはまる女の子たちとは若干距離が近いが、いわゆる「甘々でラブラブ」な関係ではない。