「でも僕、今とても嬉しいんですよ。憧れてた『人』になってますから。女神じゃなくて」
「そうですか」
「まあ、心臓をグサッと刺されても生き返る人間なんていないんですけどね」
「……」
「あはは、これじゃまるで人の形をしたバケモノだ~」
「おお、ついに街が見えました。ここからは200年も生きた僕に頼ってもらってもいいですよ!」
「いや、エリシア様って『外』に出る機会があまりなかったのでは?」
「あ、あはは、そうだったのでした。女神だからって、めったに外には出られませんでしたね」
「まあ、200年も神殿の中で過ごしたエリシア様なら、あそこには詳しいんでしょうけど」
「そりゃそうですよ! こんな僕でも、ずっと引きこもってた神殿の中なら…」
「……」
「……」
「自分に絶望しないで、早く行きましょうか」